2008年4月30日水曜日

ヘクシャー=オリーン・モデル

貿易が発生するのは、貿易前の商品間の相対価格が貿易に参加する国々で異なるからだということはすでに確認しました。また、貿易前の国内価格は、各々の国における需要と供給によって決まることもみました。つまり、国々の間で需要と供給の状況が異なることから貿易は発生するのです。
 前章では、2国間で供給条件が同じでも、消費者の好みが違うことによって両国間で貿易が生じることが分かりました。反対に、消費者の好みが同じでも、供給条件が2国間で異なれば貿易が起こります。
 供給条件が2国間で異なる理由としては、生産技術の違いと生産要素の賦存量の違いが挙げられます。生産技術が異なることによって貿易が発生することは、すでに機会費用が一定に場合と上昇する場合で検討しました。そこで本章では、2国間で存在する生産要素の量に違いが貿易の原因となる場合を検討します。
 貿易に決定要因として2国間での生産要素の賦存量の違いに最初に注目したのは、スウェーデンの経済学者のハクシャーとオリーンでした。前章から新古典派の貿易理論を説明していますが、ハクシャーとオリーンの理論が構築さてたことで新古典派の貿易理論は頂点に達したと考えられます。
 本章では、第一節でハクシャー=オリーンのモデルの前提条件を検討します。次に第二節でハクシャー=オリーンのモデルから導かれる諸定理について説明します。具体的には、生産要素賦存量と生産パターンの関係を考察したリプチンキーの定理、生産要素賦存量と貿易パターンとの関係を明らかにしたハクシャー=オリーンの定理、商品価格と生産要素価格の関係についてのストルパー=サムエルソンの定理、そして最後に、貿易が行われることで生産要素価格は2国間で絶対的に等しくなることを示した要素価格均等化定理を説明します。

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